私はあなたのストーカーです



「なにあれー。大袈裟すぎ」
「テープ巻くほどのものなの?」
「同情してもらいたいんでしょ」


結局チャイムが鳴るまで保健室にいた私は、ひとり遅れて更衣室で着替えて、一番最後に教室に戻ってきた。


テーピングされた指を見て浴びせられた嫌味は、もう、誰が言っているのかわからない。


男子の目を盗んで飛び交う悪口は四方から飛んでくる。


(この程度のものなら気にならなくなったな)


一度地獄を見たせいか

生ぬるいイジメじゃ、こたえない。


私の幾ばくか釈然とした態度が、誰かのかんに触り、もしかしたらイジメを助長してしまう要因になりかねないな、と思う。


それじゃあしおらしく振る舞うのが、ベストなのか。


どう転んでも先は真っ暗だと思う。


教室に藤ヶ谷くんの姿は、ない。

まだ保健室かな。


彼の話は半分くらい理解できなかったし、できたところでどれほど信じられるか未知で。


(このテーピングが私を助けてくれたことだけは紛れもない真実だ)


これも私の警戒をとくためなんて言われてしまえばいよいよ人間不信になりそう。


でも、思ったよりも私、回復してる。


(突き指が左手でよかった)


利き手なら日常生活に支障をきたすところだった。


< 155 / 353 >

この作品をシェア

pagetop