私はあなたのストーカーです



次の授業が終わったあとの休み時間、藤ヶ谷くんが教室に戻ってきた。


隣の席にかけると鞄からヘッドホンを取り出し、音楽を聞きながら机にうつ伏せになる。


……自由な人だなあ。


藤ヶ谷くんは、野良猫みたい。

綺麗な野良猫。


私は――、ボロボロの迷い猫。


ねえ、藤ヶ谷くん。

さっき保健室でした話、ナイショにしててくれるの?


私が『助けて』って言ったら。

騎士になってくれるの?


イジメを止める力、持ってるの?


私、あなたのこと、信じていいの?


(モンスター)


藤ヶ谷くんから、藤ヶ谷くんに巻いてもらった左手のテーピングに視線をうつす。


(モンスターは、こんなこと、してくれないよ)


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