私はあなたのストーカーです


『恋愛に正解も不正解もないでしょ』


そりゃあ、そうかもしれないけと。


『結果出すためならどんな道を通ったっていい』


そんなわけない。恋愛と数式は別物だ。

それぞれに、人の心がある。なのに私が描く正解にたどり着くためになにをしてもいいなんて、間違ってる。


【『いい子』でいて、縮まる関係じゃないでしょ】


言われなくても、知ってるよ。


【先生と生徒の壁が薄くなる努力くらい。自分で、すれば?】


……努力……。



【真っ白で、まっすぐな方が。歪んでいったとき、面白いからね】


(歪んでいく……?)


「宇崎?」


大好きな声に、遠のいていた意識が呼び戻される。


気づけば教室に先生と二人になっていて、廊下のざわめきも、小さくなっていた。


「ほんとに大丈夫か」


心配そうに私を見下ろす、栗原先生。


「た、たかが突き指です!」
「そうじゃなくて」
「……?」
「宇崎、俺に隠してることないか」

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