私はあなたのストーカーです


ドクン、と大きく胸が鼓動した。


私の気持ちが、バレてる?


「いや、隠してることって言ったら変か。このところ顔色悪いと思ってさ」
「あ……」


体調の、ことか。


「あれから飯とか食えてる?」


あれから、というのは悠とご飯を作って食べてからということだ。


「はい。食べて、ます」


嘘だった。このところ食欲もなければ、食べてもどすこともあった。


「ついてこーか」
「え?」
「病院」
「だ、大丈夫です」
「そうだよな。こんなオッサンついてったら却(かえ)って困るよな」


ふっと笑ってみせる先生。


「そんなこと、ないです。その気持ちだけで嬉しいです。先生、まだまだお仕事忙しいでしょうし。いくら担任の先生っていっても、あんまり学校の外までお世話してもらうのは違うというか」


せっかく先生との時間が増えるチャンスだったのに。せっかく先生から声をかけてくれたのに。


距離を縮めるどころか広がるようなことしか言えない私に、この怪我を利用するなんてできっこないよ。

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