私はあなたのストーカーです


お母さんがみんな優しいなんて、嘘だ。


「私が育て方を間違えたの?」
「違う……違うよ、お母さん」


お母さんがみんな娘を愛しているなんて幻想だ。


「お小遣い足りない?」
「そんなこと、ない。アルバイトは社会勉強にもなると思って」
「言い訳ばかり達者になって。そういうところ、あの男にそっくり」


そんなこと言われてもさ。お母さん。


「見ててイライラする」


私、覚えてないんだよ。

お父さんの顔も、声も。


思い出させてもくれないよね。

お父さんの影、この家に一切ないもんね。


どれだけ昔の教科書や学級通信が発掘されても。


私のお父さんの写真なんて、一枚も出てこないもんね。


「言い訳じゃ、ない」


いい加減、やめてよ。

あなたが失敗した恋愛の愚痴を娘に聞かせるのは。


「じゃあなんで財布からお金抜きとったの」

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