私はあなたのストーカーです
――…バレてる。
「そんな子に育てた覚えない」
「お母さん、ごめんなさい」
「どれだけ人よりできること少なくても。悪いこと、しない子だったでしょ。なのに、どうして」
お母さんがヒステリックになるのは、昔からだった。
お母さんが隣に住む同級生の悠と私を比べて劣等感を抱いていることには気づいていた。
悠のことばかりお母さんが褒めるから
心の底から、悠のことを好きにはなれなかった。
悠は、悪くない。これは私の問題で。
仲良くしていきたいのは本音で。
それでも悠が羨ましくて憎らしい。
【好きなんだ。ずっと】
あんな感情向けてこられて応えられるわけない。
今は苦労しているみたいだけど昔から温室育ちで私が欲しくてたまらないものばかり持っていた悠のことを、心から愛してなんてあげられない。
私はそんな、弱くて、綺麗じゃない心を持つ人間なんだ。
(……醜いなあ、私)
「どうしてそんな子に、なっちゃったの」
お金、盗って、ごめんなさい。
でもね。
でもね、お母さん。
「私、今日、怪我したの」
お母さんに、気づいて欲しかったよ。
左手の怪我。
見えないところの傷も。
「だから?」
「え……」
「そんな話で誤魔化していいこと?」
誤魔化してるんじゃ、ないよ。
「お母さん、辛い」