私はあなたのストーカーです
不覚にもドキッとしてしまいそうな台詞だけれど、あなたが使っているカード。親のお金でしょう……?
自分で稼いだお金で女の子にそれが言えるようになったらすごく立派だしイケメンすぎるとは思う。
それでも奢られるなんて、私は慣れてないし。
素直に受け入れ難いよ。
「変な子だよね、君」
「え?」
「死んだ目して、ずぶ濡れで歩いてたのに。なんで僕のお金の心配してるの。今それどころじゃなくない?」
「っ、」
藤ヶ谷くんの言うとおりだ。返す言葉もない。
「それでー。着れたの?」
「うん」
「振り返っていい?」
「えっ……」
「ダメって言われても振り返っちゃうけど」
そう言ってこっちを向いた藤ヶ谷くんが、目を見開く。
「やっぱり。おかしいかな」
似合わないよね。身の丈に合ってないよね。
「ファスナーは?」
「届かな……かった」
「それじゃあ僕がとめてあげよう」
藤ヶ谷くんに、背を向ける。
「もっと着やすいものを選んでくれればよかったのに」
「わざとだよ」
――え?
「僕が危険人物だと知った上で。こんな場所に二人きりになって。無防備に背中を向けるなんて、本当に君はバカだね」