私はあなたのストーカーです


そんなことを耳元で囁かれ、血の気が引いていく。


「君の口に君がさっき脱いだ靴下でも詰め込んでさ。叫べないようにして。僕一人だけ、愉しむようなこともできる」
「……っ」
「ねえ、ヒナコちゃん。世の中には、イカれたやつ、たくさんいるんだから。知らないだけで。気づけない、だけで。そういうのに限っていつもは優しく笑ってたり、真面目だったりしてさ。気をつけて」


トン、と肩に手を置かれる。


「はい。上までしまったよ、ファスナー」


(……冗談?)


「あ、ありがとう」
「どういたしましてー」


きっといつもの私なら、藤ヶ谷くんとこの建物に入ることも、プレゼントしてもらうことも、そして買ったものにその場で着替えさせられることも、ファスナーをしめてと頼むことだってなかっただろう。


こんな選択、しなかった。


【死にたい】


一度、絶望を味わった人間というのは。

どんな行動にでるかわからないものだ。


今の私は普段と同じような判断ができない。

いつも通りの自分がどうだったかさえ、このまま、忘れてしまいそう。


ワンピースだけじゃない。


靴下も、靴も、履き替えた。


どうしてパンプスのサイズわかったの?


まあ、私は背が低いしSがちょうどいいと思ったのかな。


(シンデレラみたい)


「超かわいいね」
「……へ?」


いやいや。お世辞だ、きっと。


「やばいよー。鏡、見てみてよ」
「むっ……無理」
「見なって」
「うう、」
「お姫様みたいだよ。ヒナコちゃん」

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