私はあなたのストーカーです


「門限が気になる?」
「え……」


帰る場所は、ないのかもしれない。

お母さんは、こんな私は要らないだろう。


私の世話をやめて好きに生きたほうが幸せになれるんじゃないかな。


知ってるよ、私。

お母さんが友達の家に行くとか、友達と旅行するとか言って家をあけてるのってさ。


……いつも男の人と、いるんだよね。


恋人なんだよね。


娘にご飯作ったり洗濯するより、そういうこと、してたいんだよね。


――女になりたいんだよね、お母さん。


「気に、ならない」


私は要らないよね。


「そういえば。今更だけど、指は大丈夫なの」
「一、二週間で完治するみたい」
「ヒビとか入ってなかったんだね。よかった」
「……ありがとう」
「いいのいいの。僕、余るほどお小遣いもらってるからそのくらい――」
「そうじゃなくって。ありがとう」


声、かけてくれて。

さっき放っておかないでいてくれて。


こうして一緒にいてくれて。


「藤ヶ谷くんがいてくれて。よかった」

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