私はあなたのストーカーです
「そんなかわいいこと言うとー。連れ込みたくなっちゃうなぁ」
「連れ込むって?」
「ラブホテル」
「えぇ……!?」
「さあ。行こう」
手を引かれ、多目的トイレから出る。
荷物はコインロッカーに全部あずけてきた。
新しい服、新しい靴。
要らないものは、置いてきた。
なんて身軽なんだろう。
こんなにカラダって、軽かったっけ。
「たしか。この近くで、いい感じのところはー」
「嘘でしょ!?」
「あは。焦ってる」
「び、ビックリするような冗談言うから……!」
ホテルなんて十年はやいです。いや、わからないけど。
「冗談じゃないよ。普通にヒナコちゃんとなら行きたいけど無理矢理は誘わないから心配しなくていい。合意してくれたら喜んで行く。って言いたいところだけど、生憎その選択肢はない。そんなことしたら自害する」
やっぱり藤ヶ谷くんってなにを考えているかわからない。なんとなく、常人には理解できない高レベルなことを言われているような気がしてくる。
「行ったこと……あるの?」
「どう思う?」
目を細めて質問を返される。
「や、やっぱりなんでもない!」
「ヒナコちゃんは、男と女が、そこでどんな風に愛し合うか想像つかないんだろうね」