私はあなたのストーカーです


藤ヶ谷くんが、それ以上なにもいわないときは、話を聞いていないわけじゃなくて。

深く突っ込んじゃダメなときだと思う。


【みんなそうなんだと思うよ】


みんなって……みんな?


(栗原先生も?)


麻美も。悠も。他の子も?


麻美なら、歪んでるのわかる。

悠を想って暴走していたのを目の当たりにしたから。


もっとも、元から暴力的な子だけど、恋が――悠への想いが麻美をエスカレートさせていたのは見ていてわかった。


「悠は歪んだりしないよ」
「碓氷悠?」
「うん。悠は、眩しいくらい真っ直ぐだから」
「人の心なんてわかんないもんだよ」
「悠は、ピュアなの」
「そんな風に見えるだけさ。男はみんな、ケモノだよ」


悠が、ケモノ……。いまいち想像できない。


「さーて。なにして遊びたい?」
「今更だけど。私といて、大丈夫?」
「んー?」
「そろそろ帰らなきゃならない、とか」


本当は退屈で仕方ないけど、私が全然帰りたがらないから付き合わされて大変、とか。


「べつにー。ヒナコちゃんとのデート、楽しいし。一晩中でも付き合うよ」


これって、デートなの?


「求めてくれてるんだよね?」
「え?」
「“助け”」

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