私はあなたのストーカーです
「ありがとう。でも、帰る」
初めてのオールも。お泊りも。
できるものなら先生とがいい。
「送るよ」
あたりはすっかり暗くなっていた。
「平気。電車賃、貸してもらえるとありがたい。……明日、返せるかわからないけど」
歩いて帰るにはもうくたくたで。
こんなに足が棒になるまで誰かと過ごしたのって初めてだ。
「もっと甘えればいいのに」
「あのね、この服……」
「ああ。洗って返すなんて言わないでね」
「でも」
「それは君にあげたものだから。返されても困るよ。捨てるだけ」
「……ありがとう」
「似合ってる」
「ほんとかな」
「なんていうか、今は急いで着ただけだから多少浮いてる部分あるけどさ。それでも可愛いと思うし。時間かけてメイクアップしたら宮内麻美に見劣りしないか。もっと目立てる気がするな」
藤ヶ谷くんは、女の子が欲しい言葉をいっぱい知っている。
単にチャラチャラしてるというよりは、それを伝えたあと相手がどう捉えるかまで頭で考えてから、口に出しているように見える。
私を怒らせるのも喜ばせるのもお手の物って感じで。
(悠とは、全然ちがうタイプの男の子だな)