私はあなたのストーカーです


母親としていつまでも不完全なのに。

バカっぽいのに。


俺の母さんよりは、ずっと良い母親だった。


そんなこと認めたくなかった。

でも、


『あ、悠くん。うちでご飯たべていきなよー。ひなが仕事してる間にカレー作ってくれたんだよね。ほんと子供って勝手に大きくなってくよね。あんなに小さかったのにさ。片腕でひょいと抱きかかえたとき、守ってやらなきゃって感じたのに。気付いたら自分のこと自分でやってさ。あたしみたいなのからも。あんなに、いい子が生まれて幸せ者だわ』


ちゃんと、愛してる。ひなのことを。


見本のような人ではないが、よほど人間らしい。


だったらひなのことをもっとわかりやすく愛せばいいのに。


放置しなければいいのに、とも思うが。


俺にとって友梨さんがほどよく腐ってくれていたことは都合がよかった。


友梨さんがひなでなく俺ばかり褒めたり、男と遊んだりしてきてくれたおかげで、一番身近にいた俺はひなの心の隙間を埋められたのだから。


『バスケしようぜ』

『えー。下手くそだもん』

『いいから』

『悠ってバスケしてるときはカッコイイよね』


ひなとの時間を、大切にした。


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