私はあなたのストーカーです
俺はひなに、嘘をついた。
母さんを鬱にしたのは――、この俺だ。
面倒みるのが大変なんてのはまるきり嘘だ。
叫びも暴れもしない。
日に日に精神衰弱しているが、どんどん弱らせているのは、何を隠そうこの俺で。
煩いから、黙らせた。
ただそれだけの話を、美談に盛った。
そうすれば、ひなに、同情してもらえると思ったから。
案の定、ひなは俺に同情し。
最近俺のこと避けようとしてたのが嘘のように、自分から料理を教えてくれた。
うまくいった。
母さんを使ってひなに近づけた。
目障りで仕方なかった母さんがやっと役に立った。
教育に煩い母さんは
『お願いだから。もっと偏差値の高いとこに行きなさい。いくらでも狙えるでしょう?』
学力の高い学校へ通えと口を酸っぱくして言ってきた。
男子校だ。
寮に入れようとした。
それがあまりにもしつこいもんだから、
『黙れクソババア』
中二のとき俺は母さんに生まれて初めて反抗した。
父親が長期海外出張に行っているので都合がよかった。
そりゃあ、気も狂うよな?
長年親の言いなりになってきた
お利口で、爽やかを絵に書いたような息子が。
『これ以上俺を縛り付けるなら。ぶっ殺すよ』
包丁片手にあんなこと言えばさ。