私はあなたのストーカーです


ひなは、家を飛び出したあと、どこへ向かったんだろうか。


行き場をなくしたアイツの居場所は、

いつだって俺でなきゃならないのに。


俺はあいつといるために

【野菜炒め。クッソ不味かった】

完璧にできることまで手を抜いて、ちょっと頼りない幼なじみを演じてきた。


ただでさえ優秀な俺は、そうすることで『悠は普通の男の子』『モテるけど身近なやつ』と思ってもらった。


それが仇となったのか?


最近は、あいつの心揺さぶることだって、言ってきたのに。


それなのに、ひなは。


どうして、俺を選ばない。


『私、悠には、恋愛感情、ない』


俺が何人の女、フッてきたと思ってる。

ひなが、いいから。

ひなしか見れないから。


ひな以外の女に優しくも甘くもしてやる意味ないんだ。


なあ、俺、王子らしいよ。


一緒にいれば自慢なんだと。


せめて一度でいいから抱かれたいんだと。


誕生日もバレンタインも周りのやつらに嫉妬通り越して憧れられるくらいにはプレゼントもらってきた。


全部、開けずに捨てたけど。


俺、ひなだけなんだ。


手料理も、プレゼントも、受け取りたいの。


なのに。


なのに、ひな。


(なに他の男すきになってんだ?)


どいつだよ。


俺からひなを奪ったのは。


俺の、ひなを、奪ったのは。


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