私はあなたのストーカーです


「麻美の手前、聞きにくかったんだけど」と、遠慮がちに仁依菜ちゃんが言った。


「ほんとに初恋まだなの?」
「えっ……」
「あ、誤解しないでね。笑ったりしないよ。むしろ――」


俯く仁依菜ちゃん。もしかして。


「仁依菜ちゃんも?」
「うん。……実は」


仁依菜ちゃんと話すのは楽しい。あんまりガツガツしていないし、相手の気持ちをちゃんと考えている子だし。


おまけに初恋が未経験同士なんて仲間意識が高まってしまう。


「でも。……あれ?」


仁依菜ちゃんって。


「中学のとき、彼氏いたって言ってなかった?」
「実は、嘘なの」
「そうなの?」
「だって。そうでも言わないと……」


その言葉の先に言おうとしていることがわかった。


【そうでも言わないと麻美に笑われる】


「内緒だよ?」


不安げに私を見上げてくる。守ってあげたくなる系女子って、仁依菜ちゃんみたいな子のことを言うんじゃないかな。


「もちろん!」
「ありがとう、ヒナコ」


仁依菜ちゃんの笑顔は天使みたい。こっちまで癒される。

ふわふわの、柔らかそうな髪を緩く編み込みにしていて凄く可愛いヘアスタイルだし、多分地毛かなと思う茶色い髪も、真っ白な肌も綺麗で。

お洒落大好きって感じで。だからこのグループにいたいのだと思う。

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