私はあなたのストーカーです


テスト期間中。


ひなが、屋上に向かうのが見えた。


おおかた宮内麻美たちの嫌がらせに精神がやられていたのだろう。


嫌な予感はしたが、屋上の鍵はかかっているし、そこまで心配せずにその様子を影から見守っていた。


そんなとき。


――栗原が駆け寄っていくのが見えた。


俺はなんにも知らないフリをして、ひなに電話をかけ。


栗原の準備室へと向かった。


(栗原か?)


ひなが好きな男は、栗原なのか?


いいや、まさか。


【そういえば。ひなのクラスの担任】
【結構人気、あるよな】


俺がそう聞いたとき、


【それが?】


あまり反応がよくなかった。


ひなは、あいつを、ただの担任としてしか見ていない。


だから、ひなの片想い相手は、栗原とは思えない。


そうであるはずがないし。

あってはならないんだ。


たった一度。

一度だけ、ひなのピンチを救ったくらいで。


「……俺の10年分の愛、超えられてたまるかよ」


< 243 / 353 >

この作品をシェア

pagetop