私はあなたのストーカーです
テスト期間中。
ひなが、屋上に向かうのが見えた。
おおかた宮内麻美たちの嫌がらせに精神がやられていたのだろう。
嫌な予感はしたが、屋上の鍵はかかっているし、そこまで心配せずにその様子を影から見守っていた。
そんなとき。
――栗原が駆け寄っていくのが見えた。
俺はなんにも知らないフリをして、ひなに電話をかけ。
栗原の準備室へと向かった。
(栗原か?)
ひなが好きな男は、栗原なのか?
いいや、まさか。
【そういえば。ひなのクラスの担任】
【結構人気、あるよな】
俺がそう聞いたとき、
【それが?】
あまり反応がよくなかった。
ひなは、あいつを、ただの担任としてしか見ていない。
だから、ひなの片想い相手は、栗原とは思えない。
そうであるはずがないし。
あってはならないんだ。
たった一度。
一度だけ、ひなのピンチを救ったくらいで。
「……俺の10年分の愛、超えられてたまるかよ」