私はあなたのストーカーです
天井にも壁にも青空が描かれた、子供部屋のような空間から連れ出されると廊下はまっすぐに続いていた。
一体どこまで続いているのだろう、なんて考えているとさっきいた隣の部屋に「こっちだ」と案内される。
「驚かせてすまなかったな」
通された部屋は、窓のない、白と黒を基調としたモダンな部屋だった。
「まあ。座れ」
「……はい」
嘘、みたい。
先生と並んでソファにかけられるなんて幸せすぎる。
それも、二人きり。
……もう少し近づきたいな。
「えーと。なにから聞きたい?」
聞きたいことは山ほどある。
いつの間に眠っちゃってたんだろう。
先生が運転してくれてるのに寝ちゃってごめんなさい。
(私がお願いしたからさらってくれたの?)
私、先生に、さらってもらえたの?
先生といられることがなによりも嬉しくて、質問を考えている場合じゃない。
それでも一番に浮かんだ疑問はやはり――。
「小町ちゃんが、どうして先生と」
世間を騒がせている失踪少女がなぜここにいるのですか。
「誘拐したんだ」
――え?
「俺が、あの子をさらった」
よくわからない感情が私を襲う。
動悸は相変わらず激しいままで。
「あの子のこと見て。どう感じた?」
「それは……」
明るく笑っていて、写真で見るよりずっと子供らしい子だって思った。
「俺があの子と出逢ったとき。あの子は、生きる希望を亡くしていたんだ」