私はあなたのストーカーです
――実在したんだ。
秘密基地。
私、先生の秘密基地に、呼んでもらえたんだ。
「山奥に建てたコンクリート住宅の地下1階」
先生って何者なんですか。
あんな家に住んで。
こんな隠れ家も持っていて。
「教師二年目じゃないんですか」
「二年目だよ。あの学校は」
「あ……」
そうだ。
新任なんて、ひとことも聞いてない。
「俺がいくつだと思ってた? 宇崎」
「にじゅう……よんさい、くらい」
でも、見た目は大学生って言われても全然違和感がなくて。
「きっと宇崎が思うよりずっと年上だよ、俺」
「そうだったんですね」
「倍か。それ以上生きてると思ってくれていい。オッサンだろ? これまで派手に金を使う趣味も持ってこなかった。酒も煙草も博打もしない。まあ、家には結構使ったが。この年まで地味な独身生活送ってきたんだ。それでなくても、ありがたいことに両親の遺産があって。金なら年の割に蓄えてる」
「……カッコいいです」
「はは。どこが?」
そういって笑う先生は、私のヒーローで。
「羨ましいです」
「ん?」
「小町ちゃんが、羨ましい」
先生に救ってもらえて。
ここで先生と生活できて。
嫉妬してしまう。
気が狂いそう。
あんな、小さな子供相手に。
「それじゃ。宇崎、ここでやってくか」