私はあなたのストーカーです


「行ってくる」


朝になると、先生は、出かけていく。

もちろん“教師”になるためだ。


私は、あっち側にいたのに。

もうそこに戻る気、ない。



「お姉ちゃん、あそぼ」


先生が仕事に出ている間は

小町ちゃんのお守りをすることになった。


小町ちゃんは素直で、天真爛漫で、純真で。


「お兄さんは、休みの日に小町といっぱい遊んでくれるの」


小町ちゃんから先生の話を聞けば聞くほど、先生の人柄が伝わってきて嬉しくなった。


同時に、

この可愛らしい生き物に憎しみを抱くようになった。


――この子は私の知らない先生をたくさん知っている。


そう思うと、この子をぶってしまいたくなった。


「お姉ちゃん?」


そんな、自分が、嫌で。


……はやく。


はやく、この子をここから追い出したい。


この子に罪はないのに。


「お兄さんにはね、妹がいてね」


そういえば、そんなこと先生から聞いたな。一緒に料理を作るくらいに仲がよかったって。


だから、悠と私の関係が微笑ましいみたいに。


< 268 / 353 >

この作品をシェア

pagetop