私はあなたのストーカーです


そう言ってもらえるのは嬉しいけれど、いきなり名前で呼ぶのは敷居が高いことに気づく。


「なっ……なか……」
「ヒーナーコ」
「……!」
「ほら。たいしたことないだろ、呼び捨てなんて。呼んでみろよ」
「……っ」


照れくさくて、呼べやしない。


そこに。


「お風呂入ってきたよー」


小町ちゃんがやってきた。


「次は、ヒナお姉ちゃん? それとも、お兄さん?」
「え……あ、先にどうぞ、先生」
「遠慮しなくていーのに」
「で、でも」
「じゃあ。一緒に入るか?」


――!?


「お、お先に、行ってきます!」
「はいよ」


さらっとそんなこと言わないでください先生。


先生の余裕、
全然なくなりそうにないですが!?


長く生きてきた分、何枚も上手で。


(やっぱり甘い雰囲気になるのは、相当に遠そうだ)


それでも、これからは。


私と過ごす時間がいちばん長くなりますもんね?


最高です。


最高の、余生ですよ、先生。


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