私はあなたのストーカーです
「……オジサン、誰」
私に気づいた少年は、ナイフから手を離しました。
目撃者である私に向かってくることはありませんでした。
満足したのでしょう。
生ゴミのようになったKを見て、
こんなくだらない人間――いいえ、人間の出来損ないに、サクラが殺められたのかと思うと、心底腹が立ちました。
「なんで、泣いてるの」
少年に尋ねられ、自分が怒りで涙を流していることに気づきました。
「僕のこと。叱る? こいつ殺しちゃったから。オジサンもしかして、こいつの友達?」
少年の、K殺害に対する罪の意識は、蟻を踏み潰した程度のものでした。
いや、もっと小さく、ひょっとしたら皆無だったと言っても間違いではないのかもしれません。
「でもね。こいつムカつくんだ。僕のトモダチのモノとったり、壊したり。川に流したり。さっき、ジハクしたよ」
そのとき、
サクラに友達がいたことを初めて知りました。
どこで会ったのか。
どんな関係だったのか。
色々な疑問は浮かんできましたが。
一番知りたかったことが知れました。
サクラが不慮の事故にあったのではなく
殺されたのだという確信が、持てました。