私はあなたのストーカーです
「失礼します」
国語準備室に入るまでは、みんなの知る、無気力でかるーい僕。
でも、扉を閉めたら。
「センセイ」
センセイの前では、僕は、忠実な犬。
「ねえ。ヒナコちゃん、元気? あれから一緒に住んでるんでしょ。よく見つからずにカンキンできてるね。さすが、セン――」
「藤ヶ谷くん、お静かに」
そういうセンセイから、殺気を感じて。
それ以上言葉を出すことができない。
「今、大きな声を出されては。計画がすべて台無しになります」
「ごめんなさい、センセイ」
「すべての『罪』を背負い。あなたに消えてもらうことになります。口を慎むように」
「……うん」
「まあ。かけてください。そんなに怯えなくても、私は藤ヶ谷くんを手にかけたいなんて思っていませんよ」
僕はてっきり、この計画が終われば
センセイがヒナコちゃんを手に入れれば
いーや
利用価値がなくなれば
消されちゃうものだと思っていたのに。
「殺さないんだ」
「当たり前ですよ。できればこれからも仲良くしていきたいです。君は、私の友人ですから」
ああ、こうやってセンセイは、
僕を従順にさせちゃうんだ。