私はあなたのストーカーです


「ヒナコは。私の家で楽しく暮らしています」


よかった。僕の願いは叶った。

ヒナコちゃんはこれで間違いなく幸せになれる。


「小町ちゃんも?」
「ええ」
「まだ、いるんだ」
「予定通り小町は、頃合いを見て解放しますがね」


そうだよねー。


いくら自ら“生きる希望を亡くしセンセイにかくまわれている少女役”を志願してきた、女優の卵とはいってもさ。


いつまでも演技させていたらボロがでるよね。


「あの子、いい女優になるね? スポンサー」
「そうですねえ。小町の芸能活動の資金は、約束通り私が払ってやることになるでしょう」


己の欲望のためなら、家族ぐるみで失踪事件をでっちあげて協力させちゃうなんて。


世間を。いいや、世界を巻き込み。


騙すなんて。


ほんと、ぶっとんでるよねえ。


センセイのそういう自己中心的なところ。


サイコパスなところ。


本当に、好きだなあ。


「まあ。あんまり長居させるとセンセイに恋しちゃったり。ヒナコちゃんにヤキモチ妬かせすぎちゃうもんね。それはいろんな意味でヤバイねえ」
「大正解ですよ。はなまるをあげましょう」
「やったね」
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