私はあなたのストーカーです


あなたのことを考えながら、働きました。


あなたの名前をノートに書いたこともあります。


気づけばあなたとのあれこれを、想像し。


あなたの家に盗聴器を仕掛けました。


なあに。


あなたの母親はお世辞にも頭の良いといえる女性ではありませんでしたので。


業者を装い部屋の中にあがるなんて難しいことではありませんでしたよ。


当時のことを覚えてもいない。


その日のうちに盗聴器、カメラは仕掛けられましたし。


――合鍵も、作っておきました。


必要でしたので。


あなたを知るために。

なにかあったとき、あなたを守るために。


ときおりイヤホンから聞こえてくるあなたと母親の理不尽な喧嘩に憤りを感じました。


今すぐに私がさらってやりたいと強く思いましたが堪えました。


あなたの母親から愛されたいという気持ちを利用して、あなたの心の隙間に入り込む腐れ縁の男が邪魔でした。


その男に藤ヶ谷くんを近づけさせたら、面白いことがわかりました。


――サイコパスだったのです。


上辺は完璧でした。

敢えて、少し頼りなく振る舞い、あなたの気を引くところまで。


バスケに青春を捧げるで爽やかな彼には、残虐な一面がありました。

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