私はあなたのストーカーです
教室に入った途端、なにか異様な空気を感じた。
みんなの視線がある生徒に向けられている。
そこにいる少女が、暗い顔をしている。
(仁依菜……ちゃん?)
「おはよう」
仁依菜ちゃんの席まで駆け寄る。
「酷いよ、ヒナコ」
「え?」
「信じてたのに。だから、話したのに」
「なにが」
「……それは?」
手に持っていた求人情報誌を見て問いかけられる。
「ああ。これね、もらってきたの。一緒に見ようと思って」
「ふざけないで!」
机に乗せたそれを、机の下に払い落とされる。
バサッと鈍い音がした。
なんで。なんで怒ってるの、仁依菜ちゃん。
天使みたいな笑顔の彼女は、そこにいない。
「喧嘩は、やめなよー」
麻美の声が聞こえてきた。
「初恋もまだな遅れてる二人は。これからもダサい同士、なかよしこよし、してれば」
――!?
「なに言って……」
麻美は、仁依菜ちゃんが初恋まだってこと知らないんじゃないの?
前の黒板に視線をうつし、唖然とする。
そこに書かれていたのは――。