私はあなたのストーカーです
「へえ。大人しそうな顔してやるね、ヒナコちゃん」
近くにいた男子のつぶやきが耳に入ってきたが、反応はしないでおいた。
麻美が舌打ちして椅子を蹴り倒す。
「席につけー」
前の扉から入ってきた栗原先生には、生徒間でしか伝わらない、教室一部の異様な空気が届かなかったようで。
起立、礼が終わると
「出席をとる。まあ、全員いるからいいか」
「てきとー」
「時短といえ」
お決まりの挨拶を済ませ、諸連絡があり。朝の読書タイムが始まって。
表面上は、いつもと変わらない朝で。
ううん、殆どの生徒からしたら、いつも通りの朝で。
空はからっと晴れているのに。
どうして私の心はこんなにも重いのだろうって。
妙な胸騒ぎがして。
ひょっとしたら私の高校生活は、最悪のスタートを切ったのかもしれない。