私はあなたのストーカーです
――女の子。
「まあ……そうだけど」
「なるべく人のいるとこ通って帰れよ」
頼りなかったのに。弟みたいだったのに。
「うん」
「じゃ、また夜に」
「うん」
去りゆく悠の背中を見つめて思う。
(男の子って、いいな)
女子特有の、ヘンなわだかまりもなさそうだし。
背だってあんなに高くて。
頼もしくて。
「……私に餌付けされつつあるけど」
人の縁って不思議なものだよね。隣に住んでいなきゃ、今や学園の人気者とこうして話すこともなかったわけで。
「きゃ、」
――ドン。
「邪魔」
「麻美……」
「大きなゴミかと思った」
ふいにぶつかってきた麻美。避けようと思えば避けられるスペースくらいある。
……わざとだ。