私はあなたのストーカーです
床に大きな音を立てて筆箱が落ち、中からペンが飛び出し、転がっていく。
「ちょっと仁依菜。なに拾おうとしてるの」と言ったのは、ナミだ。
明るい茶髪のショートヘアのナミは、出会った頃からものをハッキリ言う性格で、平気で他人の外見を悪く言うようなところがあり少し苦手だ。
麻美が私を睨んでるとき、ナミは黙ってはいるけど、どこか嬉しそうだった。
屈もうとしてナミの言葉に動きを止める仁依菜ちゃん。
「そいつ。あんたの秘密広めた張本人だよ?」
違う。
「初恋もまだー、なんて言ってさ。聞いた? 『食べに来たい?』だって。やること大胆だよね」
「それは夜ご飯のことで、」
「ただの幼なじみが。ご飯誘う? 胃袋掴んで自分のものにしたいんでしょ。碓氷くんのファン、心の中でバカにしてるんだよねー」
「そんなこと……!」
「最低」
違う。違う、のに。
顔があげられない。悔しい。
「っていうかー」
麻美の声だ。
「前から思ってたんだけどー。ヒナコのステショって超ダサいよね。友達じゃない? こっちの台詞だし。せっかく仲良くしてやってたのにムカつく」