私はあなたのストーカーです


「玄関の前までジューシーな香りが漂ってた」


そう言ってやってきた悠は、お腹をすかせたワンコみたいだった。


「制服くらい着替えてきたら」
「そんな時間も勿体無い」
「どんなけお腹すいてるの」
「俺の胃袋はブラックホール」
「いくら運動しててもさ。よく太らないね。引退したあとも、体型変わらなかったし」
「あー、走ったりしてたからかな」


だとしても、痩せの大食いって感じがする。


「いただきます!」
「食べ放題とか行ったら絶対に得する人だね、悠」
「そうだな。俺が通いつめたら営業妨害どころか店潰れるかも」


その前に悠が破産するって考えはないの?


「あれやってみたら」


バラエティ番組の映し出されたテレビ画面を指差す。


液晶の中では芸人が大食いチャレンジをしていて、大きなお皿に乗せられた巨大オムライスを半分たいらげていた。


「一個のオムライスにご飯四合だって」
「うまそ」
「いやいや。無理だよ。食べる前からお腹いっぱい」
「あれタダで食えた上に賞金か。俺、将来フードファイターになろうかな」


そんなことしたら悠のお母さん心配してもっと気に病んじゃうかもしれないからやめようね?
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