私はあなたのストーカーです
私はなんて酷いことを先生に言っているのだろう。
先生は。
先生は、私を心配して来てくれたのに。
「その先、屋上だけど。開かねえよ」
「鍵。かかってるんですか」
「そりゃーな。屋上に簡単に入れるなんて、あんなの漫画の世界の話だ」
「そうですね。小学校の頃も。中学の頃も。屋上は、生徒は立入禁止でした」
「わかったなら教室戻るぞ」
「いやだ」
「……なにがあったか。話せるか?」
「いや!」
まるで駄々をこねる子供みたいに。
「先生には、いちばん言いたくない」
そのときの私は、自分のことしか考えられなくて、栗原先生を困らせてしまったんだ。
「じゃあ。話さなくていい」
(え……?)
「俺のハナシ変わりに聞いてくれよ」
「…………」
「教師ってさ。授業終わったからって暇してるわけじゃなくてさ。雑用多いし。次の授業の準備もしなきゃなんねーわけで。黙々と作業すんのも寂しいわけよ」
先生の愚痴、聞いてってこと?
なんで、こんなときに……。
「俺の部屋行かねーか?」
(栗原先生の、部屋?)