私はあなたのストーカーです


私はなんて酷いことを先生に言っているのだろう。


先生は。


先生は、私を心配して来てくれたのに。


「その先、屋上だけど。開かねえよ」
「鍵。かかってるんですか」
「そりゃーな。屋上に簡単に入れるなんて、あんなの漫画の世界の話だ」
「そうですね。小学校の頃も。中学の頃も。屋上は、生徒は立入禁止でした」
「わかったなら教室戻るぞ」
「いやだ」
「……なにがあったか。話せるか?」
「いや!」


まるで駄々をこねる子供みたいに。


「先生には、いちばん言いたくない」


そのときの私は、自分のことしか考えられなくて、栗原先生を困らせてしまったんだ。


「じゃあ。話さなくていい」


(え……?)


「俺のハナシ変わりに聞いてくれよ」
「…………」
「教師ってさ。授業終わったからって暇してるわけじゃなくてさ。雑用多いし。次の授業の準備もしなきゃなんねーわけで。黙々と作業すんのも寂しいわけよ」


先生の愚痴、聞いてってこと?

なんで、こんなときに……。


「俺の部屋行かねーか?」


(栗原先生の、部屋?)

< 77 / 353 >

この作品をシェア

pagetop