私はあなたのストーカーです
「昔から、わくわくするものが好きでさ」
「……わくわく、ですか?」
「ああ。小さい頃は近所の山に隠れ家作ったり。廃墟に足を踏み入れたり。将来は忍者屋敷に住んでみたいとか思ってたな」
探究心が強いのかな。
だけど廃墟は危ないと思いますよ。
ほら、言うじゃないですか。
廃墟には殺人鬼が潜んでいるとかいないとか。
「じゃあ、今住んでるのは忍者屋敷ですか」
「そうそう」
また適当なこと言ってるよこの人。
どこに忍者屋敷に住む国語教師がいるの。いや、先生じゃなくてもそんな大人なかなかいないよ。
でも、そんな先生のジョークが。
「あはは」
今は、とんでもなく心にしみる。
「やっぱり宇崎は。笑ってる方がいいな」
やめてくださいよ。
「かわいい」
……やめてください。
「俺にしてやれることがあればいいんだけど」
そんなこと言ってドキドキさせないで下さい。
「……先生として、ですか」
わかりきったことを聞いたところで
「そうだな」
わかりきった返事しか戻ってこない。