私はあなたのストーカーです
画面を見ると、【悠】と表示されている。
「……もし、もし。どうしたの、悠」
『おー、メッセしたんだけど』
「え?……ごめん。見てないや」
『まだ学校? それとも帰った?』
「あっ……」
悠と。
テスト前は部活が休みだから一緒にご飯作ろうって。
約束、してたんだ。
そんなこと忘れて。
私、なに、しようと――。
「ごめ……っ」
『どうした?』
「…………」
言葉がつっかえて、出てこない。
『ひな?』
貸 し て
目の前の栗原先生と目が合って、声は出ていなかったけれど、そう言われた気がした。
手を差し出され、その、大きな掌に携帯を乗せる。
「もしもし。担任の栗原だけど。碓氷だろ?」
私が、悠って呼んだからわかったのかな。
「今、宇崎、俺の部屋いる。ああ。国語準備室。オッケー。待ってる」
そういうと、電話を返された。
もう通話は終わっていて。
私はポケットに携帯をしまった。