私はあなたのストーカーです


「手作りの味噌汁かー。食うの久しぶりだな」


インスタントが多いってことかな。そう思うと胸が少し痛んだ。


小さい頃、悠の誕生日会に呼んでもらったとき、テーブルの上に並んだオードブルが全て悠のお母さんが手作りしたものと知って驚いた。


ご飯やおかずだけでなく、ケーキやマフィンなんかも上手に作っちゃうお料理好きだと知っているだけに、それをしなくなった悠のお母さんの体調が良くないというのは伝わってくる。


「出来上がったら、悠のお母さんと食べたら?」
「いや。ここで食うよ」


二人の料理教室(ってほどでもないか。どちらかというと調理実習で同じ班になったって感じのシチュエーションだな)は、絶賛我が家で開催されている。


「そっか。お母さん喜ぶよ」
「今日は夜勤じゃないのか」
「うん。もうすぐ帰ってくるんじゃないかな」


まあ、わからないけど。


仕事なくてもウロウロするの好きだから、じっとしていないことが多いし。


どこかに泊まってくるなんて可能性も、なきにしもあらず。


悠と共同作業で作ったご飯だよ、なんて言えば、めんどくさいくらい喜びそう。

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