伝説に散った龍Ⅱ
「聞いていい?」
「…うん」
「伊織に何かあった?」
風が、私たちの間を吹き抜けていく。
近藤は分かっていた。
伊織に何かあったこと。
それが、自分の怒気を駆り立てる何かであること。
この人には嘘をついてはいけないと思った。
行き当たりばったりにそう思った。
彼に嘘をつくことは容易だけれど
きっとその分、二人の仲を壊すことも容易になったろうと思う。
だから私は、近藤の隣に並んだ。
「ーー近藤、」
「ん?」
「私はあんたを信じる」
「……ありがとう」
「だから、近藤も信じて欲しい」
「…」
「ここに居る以上、貴方の信頼を得ることは必要事項だよね」
「、」
「だからね」
「…うん」
「本当の意味で、私を認めて欲しい」