伝説に散った龍Ⅱ




















ーー諒二にも、言えていないことがある。



いつかは告白すべきなのだろうけれど



それがいつなのかも、私には分からない。
































































「芹那」



「…、」



「お前が彼奴らを選んだ」



「…」



「黒龍と共に歩くことを選んだ」



何も言えなくなった私の代わりに
諒二が復唱する。



私が選んだ道を。



これから、進んでいこうとしている道を。










「本心か?」



「…うん」



「お前の心が望んでんのか?」



「うん」





諒二はゆっくりと私に問いかけた。



そこにあった棘が、丸く私を突く。





















「なら進め。そのまま」



「……うん」



「誰も責めない」



「…、うん」



「お前が創った狼が、それだけ魅力的だったってことだ」



「…っ、うんっ」



「頭上がんねえんだよ。俺ら先代連中も」



「…、」



「お前が日本一を守り抜いてくれたから」





















脳裏に浮かぶ彼らの顔。



初代も、諒二たちも



それを受け継いだ、三代目も



そのバトンを渡す相手を私に選んでくれた、四代目も。




































本当はわかってる。



きっと、誰も私を責めない。





















































『ーー自分のチームには、まず自分が誇りを持つもんだ』







あの人は何か事あるごとに口癖のようにそう言った。



だとしたら



途中で力尽きてチームを放り出した私の
その後を継いだミオ達も



彼ら自身で創り上げた六代目狼を
誇りに思ってくれているだろうか。
















































数時間前出会ったミオは



私には眩しすぎるくらいだった。







「ーー大丈夫だ」



「…そうだね」



「お前が思うほど、皆ヤワじゃない」



「…うん。」









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