伝説に散った龍Ⅱ
ーー『お前のストッパーは俺なんだな』と続けて
食い気味に頷いた私を見て
諒二はめんどくせえ、と頭を掻きながら笑った。
良かった。
諒二の本心を聞けて。
これは他力本願なことかもしれないけれど。
諒二がどう思うかが不安で仕方なかった。
それはきっと私だけじゃなく。
ーー烈も、同じことを考えていたのだという。
2人が家を出ていく寸前、靴を履き玄関を開け先に出て行った世那の背中を、何故か烈は見送って
振り返ると、私に
『諒二さんはいつ帰る?』
と尋ねてきた。
唐突な質問に私も戸惑って
わからない、あの人放浪するのが好きだから、と言う旨の返答を返すと
『挨拶させて欲しい』
烈は異様に真剣な面持ちで、そう言い放った。
よくよく聞いてみれば
自分たちの仲間になるならば、その事実を親に伝えておかなくてはならないと思ったらしく
両親がいない私にとって、保護者同然の諒二に挨拶をしたかったのだそうだ。
不良とは思えぬ律儀さに、思わず笑ってしまいそうにすらなった。