伝説に散った龍Ⅱ
ーーその後、一時間ほどして仕事があるからと諒二が帰った。
一方で世那は、そのまま夜明け近くになるまで帰らなかった。
私も日を跨ぐ直前まで起きていたけれど
結局睡魔に勝てず、リビングのソファで眠ってしまった。
起きたらタオルケットが掛かっていたから
多分世那の仕業だと思う。
「ーーっ、よし」
洗面台の鏡の前で
頬を両手でバチンと叩く。
世那と
実弟と。
同じ家で迎える、久しぶりの朝。
何か、気合いを入れなくてはいけないと思った。
不器用な私たちを
暖かく迎え入れてくれた朝に感謝するために。
「さ、」
ーーいい一日になりますように。
心の中で、そっと呟く。