タイムカプセル。
バスケットコートには誰かの忘れ物かバスケットボールが転がっていた。
私はバスケットコートに行くとそのボールを掴んでゆっくりとドリブルをする。
懐かしい手触り。
中学時代を思い出す。
ゴールを狙ってボールを打つが上手く入らない。
「あれ?」
もう一度。
ガンっ
「入んない」
もう一度
ガンっ
「入れっ」
ガンっ
「……」
ガンっ
「ねぇ……祐之介」
『杏、高校ではバスケしねぇの?』
『うん、高校では美術部に入ろうと思ってる。
将来、そっちの方に興味があるから』
『…そっか。じゃあもう試合の会場ですら会えないんだな』
『…試合は観に行くよ!今度は観客として』
『そっか、うん……そうだな、観客席で応援してて』
『うんっ』
「…私がもしバスケ続けてたらどうなってたかな?」
ガンっ
何度目かのシュートはリングに当たり、ゴールに入る事なくコートで何回かバウンドし、コロコロと転がった。
「やっぱ3年もブランクあったら入んないか」
ここでいっぱい練習して、ピーク時はほぼほぼの確率でゴールしてたのにな…。
今じゃ一回ゴールするのでさえ難しいなんて…。