タイムカプセル。
「…さて、そろそろ目的を果たそうかな」
バスケコートから出ると鞄からスコップを取り出した。
『杏』
スコップ片手にバスケコートの隣に生えてある木の下に向かうとしゃがむ前に身体が硬直した。
『杏、約束』
「祐……」
3年前に缶箱を埋めたのはバスケットコートの隣に生えてある木の下。
埋めた瞬間は他の所より土の色も、土の状態も違ってて丸分かりだった。
そして、3年経った今も何故か埋めた状態の様に周りより土の色や状態が違う。
その意味は私だけが知っている。
祐之介…来たんだ。
そして、掘ったんだ。
震える身体を動かしてゆっくりとしゃがむとスコップで土を掘った。
土は一回掘った分柔らかくなっていて思ったより早く掘る事ができた。
掘り起こすのに5分も掛からなかった。
「やっぱり…」
掘り起こした缶箱には3年前にしたガムテープが付いてない。
その意味は一緒に埋めた“もう1人”の人が開けたという事。
穴から缶箱を取り出す。
缶箱は3年の月日が流れ、土の汚れと錆が掛かっていた。
ガムテープしていた分、蓋と本体の境目が若干粘着質だ。
汚れるが仕方ない。
缶箱を抱え込む様にして持って蓋を開けると
蓋は思ったより簡単に開いた。
開いた缶箱には3年前に入れた物が何点かなくなっていて、そして入れた覚えが無い物が入っていた。
「なんで…っ」