タイムカプセル。
祐之介は卑怯だ。
自分が言いたいことは言って、私の気持ちなんて考えてもない。
あの時もそうだ、別れることになったあの日も
『祐之介…その子確かマネージャーだよね?
なんで……なんで抱きしめてるの?』
『杏ごめん…他に好きな子ができた。
………俺と別れてくれ』
『ちょっと待ってよ…何いきなり?
別れるなんて……ちゃんと話し合おうよ』
『ごめん…本当にごめん、杏。別れてくれ』
『……』
全部1人で話を終わらせて、祐之介は向き合う事をしない。
「卑怯者……」
悔し涙が溢れて止まらない。
「卑怯な奴……」
自室のカーペットを強く握る。
「ずるい男で自分勝手な奴だよ」
そう強く思うのに
「フっ」
そんな気持ちと同じくらい
「私はまだ…大好きなのに……な」
まだあの頃と同じ様に貴方に愛情を持っている。
お揃いのリストバンドとハチマキを箱から取り出して強く抱きしめた。
「祐之介…」
私と貴方、もう交わる運命はこの先来ないのかな?
そう思う自分ともう関わる事なく祐之介よりもっと大好きな人に出会いたい自分がいた。
「写真も持って行ってくれたら良かったのに…」