俺様外科医と偽装結婚いたします
ふたり一緒に…
翌日、私はお祖母ちゃんと共に加見里病院を訪ねた。
ありがたいことに陸翔の彼女が店を手伝いに来てくれたため、私は今待合室でお祖母ちゃんが検査中のこの時間をのんびりとした気持ちで過ごしている。
バッグからスマホを取り出して、今朝の環さんとのやりとりを表示させた。
心配しているかと思い、お祖母ちゃんの状態がいつも通りであることと約束の午前九時半にちゃんと連れて行くことを伝えると、程なくして彼から返事が来た。
「安心した」と「わかった、また後で」。短くて素っ気ない文面からも環さんの思いがしっかりと伝わってきて、今日も会えるかもしれないと期待が膨らむ。
口元に笑みを湛えてスマホを見つめていると、隣に誰かが腰掛けた気配を感じた。ちらりと目を向けて……二度見する。
「環さん!」
隣に座ったのは環さんだった。思わず大きな声を発してしまい、私は慌てて手の平で口を押さえてあたりを伺う。
待合室にいくつも並べられている長椅子には何人もの人が座っていて、その中の幾人と目があった。
目立ってしまったことに気まずさを覚え、「ごめんなさい」と身体を小さくさせる。