俺様外科医と偽装結婚いたします
感謝しながら、銀之助さんのことを思い浮かべた。
今度いつ会えるだろうか。話をお受けすることを本人に直接伝えられるだろうか。
それともお祖母ちゃんに小言を言われるのが先で、うんざりしながら会いますと言うことになるのだろうか。
出来れば銀之助さんに言いたいと、思いを強くさせながら緩い坂道を降りていく。
しかし公園の横を通り過ぎようとした時、視界に入ってきたその姿に私は慌ててブレーキをかけた。
急いで公園入口に自転車を止めて、鉄棒の下で蹲っている見覚えのある姿へと走り寄る。
「大丈夫ですか? 銀之助さん!」
地面に膝をつき、戸惑いながら丸まっている背中に手を添えつつ、焦り気味にその名を口にした。
「あぁ、咲良さん。お恥ずかしい姿を……いてて……見せてしまいましたね……張り切ってストレッチをしようとしたら、腰が……でも大丈夫です」
勤めて明るく説明してくれるけれど、時々痛みで顔を歪ませるため、私には全く大丈夫に見えなかった。
「どうしたら……そうだ! 陸翔を呼びましょうか? 車でそのまま病院に」
「ありがとうございます。でも、ちょうど電話中だったもので……その相手がこれから迎えに来てくれると」