俺様外科医と偽装結婚いたします
「老い先短いですからね。だから今年は自分のために、ちょっとした誕生日パーティを開こうかと考えているんだよ」
「誕生日パーティですか! 素敵ですね!」
「はい。とびきり素敵なものにしたいので、ぜひ、咲良さんにもお越し願いたい」
喜ばしい気持ちがその一瞬で、虚無になる。
「……えっ……私も、ですか?」
「そうです。環のパートナーとしてぜひ」
やっぱりそう来たかと、思わず目を泳がせる。
どう対応したらうまく切り抜けられるかと、頭をフル回転で考えていると、バシンと横から肩を叩かれた。
「嬉しいお話じゃないか!」
「……いや。でもほら……」
「店のことは気にしなくて良いから、環さんと仲良く行っておいで」
お祖母ちゃんも私の思考パターンを熟知しているらしい。
お店もあるしと、引き合いに出そうとしたのに、見事に先回りされてしまった。
そうなると、うちの家族は手が付けられない。話を聞きつけたお母さんと陸翔も目を輝かせ始めた。
「まぁ。パーティだなんて、何を着て行けばいいかしら」
「張り切って新調すべきだろう。環さんの横に並ぶんだから、それなりに着飾らなきゃ、つりあわない!」
「そうよねぇ」