フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】
『だが……「江戸屋」に生まれた君ならば、これから始まる私たちの結婚生活が一般的な家庭とはほど遠いものになるということを、よく理解してくれていると思う』
まるで「だから、ほぼ初対面であるおまえなんかと結婚したんだからな」という口振りだった。
——前言撤回っ!
それって「江戸屋」に生まれたわたしなら、結婚後も『蔑ろ』にしても全然OKってことじゃんよっ⁉︎
腹立たしいのと、口惜しいのと、それからちょっぴり切ないのとが混ぜこぜになって……わたしは俯いた。
すると、左手の薬指から眩い輝きが目に飛び込んできた。
その日の朝、結婚式が始まる直前にホテル側の担当の人から渡された「婚約指輪」だった。