フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】

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予約の取れた日時に、わたしはクラブフロア(うえ)のプレミアスイートからエステサロンのあるフロアに下りてきた。

わたしがモデルになった頃からお願いしているサロンのベリが丘タウン店なのだが、他の女優やモデルなども「御用達(ごようたし)」の有名店のため、なかなか予約が取れない。


受付の子に、アジアンテイストの中にもヨーロッパの影響を色濃く受けたダークブラウンの木製の調度品が置かれたVIP専用の個室に通される。

熱帯地方原産のみずみずしい緑の葉の観葉植物と相まって、心から落ち着ける雰囲気だ。

けれども、さりげなく配置された仏領インドシナ時代のアンティークの調度品たちは、現在ではなかなか手に入らないかなり高価なものばかりである。


「レイカさま、ようこそいらっしゃいませ。お待ちしていました」

わたしをいつも担当してくれているエステティシャンが深々とお辞儀しながら出迎えてくれる。

「おはようございます、三上(みかみ)さん。今日もよろしくね」

時刻はすでに午後を差しているが、この業界に入って以来、わたしの挨拶は朝昼晩問わずいつも「おはようございます」だ。


そのあと、彼女から差し出されたふわっふわの真っ白なバスローブと紙ブラと紙ショーツを受け取り、さっさと「準備」する。

——と言っても、ただ着ているものすべてを脱いで、それらを身につけるだけだけど。

ファッションショーでランウェイを歩く「正真正銘のモデル」(ショーモデル)は、楽屋で(時には舞台裏なんかでも)次から次へと「流れ作業」のように着替えていかないととても間に合わないため、びっくりするくらい脱ぎっぷりが良いものだ。


室内にはブティックのフィッティングルームのようなスペースもあるにはあるのだが、わたしは三上さんに背を向けてバスローブを羽織ると、速攻で中の服を全部脱いで紙ブラと紙ショーツを着用した。

これも、いつものことである。

そして、中央にどーんと鎮座する施術用の立派なベッドに向かい、清潔なタオルシーツの上にうつ伏せに横たわった。

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