フルール・マリエ


浜崎様は再び奥さんと娘2人で来店し、同じように体型カバーができるウエディングドレスを試着した。

基本的にはレースで肩や腕をカバーし、Aラインのドレスを気に入って頂けているようだったので、後は胸元や裾の装飾、触り心地や着心地を確認していった。

「旦那様は次回ご来店になれますか?タキシードも合わせたいと思うのですが」

それまで女友達のようにドレスを選んでいた2人が気まずそうに視線を合わせ、娘の方が口を開いた。

「このこと、お父さんに反対されたままなんです」

「このこと、というと式を挙げることでしょうか?」

躊躇いがちに娘が頷くので、詳しい話を聞くことにした。

お父さんにも式を挙げることを提案したが、今更恥ずかしい、意味が無いと首を縦に振ってくれなかったという。

だけど、お母さんの方は結婚式を望んでいたので、やらざるを得ない状況を先に作ってしまえばお父さんも観念するのではないかと思ったようだ。

今までも何度か説得を試みているものの、まだ承諾を得ていないという。



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