フルール・マリエ
シレーヌ
ホワイトクリスマスとなった今日の店内は夕方くらいから来店予約は少なくなっていた。
結婚式を挙げる前のカップルなら、夜はディナーなどデートを楽しむからだろう。
閉店作業を終え、事務所で自分のデスクを片付けていると、牧さんが化粧直しをしていた。
「これからデート?」
「もちろんですよ。聖夜に一人ぼっちなんて寂し過ぎます」
抱きしめたくなるようなふわふわした白いセーターに既に着替え、アイシャドウも口紅も濃いめのピンクに塗りながらせっせっと身支度を整えている。
「この前彼氏と別れたって言ってなかった?」
「別れましたよー。今日のデートは新しい彼氏です」
彼氏と別れたと言ってブルーになっていたのはつい最近だったように思うが、なんと変わり身の早い。
「朝見さんはデートしないんですか?」
「そうだねー。仕事、いつ終わるかわからないみたいだし」
「朝見さんの彼氏って、何の仕事してる人ですか?」
「同業、かな」
「式場関係ですかー。イケメンですか?」
「そうだねー」
「写真無いんですか!?」
化粧に夢中だと思っていたら、突然食いつかれて、体を引く。
「今は無いかな」
「もぉ、隠しちゃってー。取らないですよ」