フルール・マリエ


その後も写真を見せてほしい、と何度か食い下がられたが、頑なに拒否して逃げ切った。

牧さんの携帯に旦那さんから、仕事が終わったから迎えに行こうか、と連絡があったらしいので駅まで迎えに来てもらうそうで、駅の改札前で別れた。


電車に乗って携帯で彼氏へのプレゼント人気ランキングなるものを検索してみると、どのサイトも別のことを言っていて、結局は彼氏の欲しい物をあげよう、という元も子もない結論でまとめられたサイトもあった。

それもそうか、と思いつつ千紘の持ち物を思い出すものの、どれもこだわって選んで持っているように見えて、私がプレゼントできる余地なんてあるのだろうか、と悩む。


ひとまず家に帰って部屋にある小学校の時の文集を漁って千紘の誕生日が書かれていないかページをめくる。

久しぶりに開いたが、当時の作文も綴じられていて、私の場合は「楽しかった遠足」というタイトルで遠足でどんなことがあって、何が楽しかったと今見れば拙い文章で書かれていた。

その文章の中には千紘ともお弁当を食べたことが書いてあって、こういう時にも一緒にいたのかと笑ってしまった。

千紘は何を書いていたのかと思えば、学習発表会のことを書いていて、不思議の国のアリスのお花をやったらしい。

何故お花?と思ったけど、私に誘われて、と書いてあったので、こっちもか、と笑った。

記憶は薄れているが、思いのほか私は千紘と行動を共にしていたらしい。

今の状況を考えると信じられない気持ちだ。

ページをめくっていると、クラスメイトのプロフィール欄が出てきて、千紘の誕生日を知ることができた。

2週間後か。



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