フルール・マリエ


「私はこっちに縁もないから、友達もいないし親も近くにいない。けど、彼はこっちに友達が多くて休日は遊びに行っちゃうんです。それを思ったら、寂しくて、不安で、本当にここで私は彼と2人でやっていけるのかって思うと、今結婚したらずっと後悔するんじゃないかと、ずっと思っていました」

遠距離恋愛をやっとのことで実らせて、新しい土地で新しい生活を始めることの不安。

いつも明るく振る舞う三原様が本当に悩んでいることに少しも気づかなかった。

遠距離恋愛の経験も、親元を離れた経験もない自分が三原様の抱える不安を感じるには自分の乏しい想像でしかない。

「朝見さん、ごめんなさい。ずっと黙っていて。今日はそれを言いに来たんです。申し訳ありませんが、手続きなどがあればお願いできますか?」

新郎との話し合いはまだ決着はついていないようだから、まだ修復のしようはあるかもしれない。

けれど、先程から感じる三原様の強い意志に自分の言葉が届くだろうか。


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